学生の自主的な活動に対する

京都大学当局による弾圧についての公開要求書

 

京都大学 総長 湊長博 殿

学生担当理事・プロボスト 村中孝史 殿

 

 京都大学では、歴史的に学生が自主的な活動を活発に行い、豊かな学生文化を築いてきました。しかし、こうした文化に対して、近年大学当局による規制や介入、弾圧が激しく行われています。また、学生のカリキュラムの強化は、単位取得方法の柔軟性を奪い、アルバイトや課外活動にいそしむ時間を減少させ、コロナ禍も相まって孤立的な思いをする学生を増加させています。

 

 ○ 例えば、2017 年 12 月に突如決定された「京都大学立看板規程」は、学生の自由な告知・言論の手段であった立て看板に、事実上許可制を導入し、当局の認めない団体による主張を規制することになりました。

 ○ 立て看板規程が制定された同日には、吉田寮生に対する 2018 年 9 月までの在寮期限が設定され、以降も居住を継続していた寮生のうち恣意的に選び出された者に対しては、吉田寮の現棟・食堂からの立ち退きを求める裁判を、当局が提訴するという暴挙が 2019 年に行われました。

 ○ 精神や体の不調を感じる多くの学生が頼りにしてきた学内の保険診療所は、昨年 12 月に突如廃止予定であることが発表され、有志学生団体による署名・宣伝活動などがありましたが、その要求は聞き入れられず、先月廃止されたばかりです。

 ○ 2019 年には、京大の学園祭である 11 月祭の期間短縮が言い渡され、これに関しては多くの学生が反対の意思を示したため撤回されましたが、学園祭期間中の飲酒規制は当局の圧力の中で制定されたもので、学生の自主的な決定とは言い難いものです。

 ○ 2020 年から現在まで続いているコロナ感染拡大状況下では、部活動・サークル活動が規制され、多くの団体の存続が危ぶまれる事態に瀕しています。

 ○ 2013 年に希望者のみの形式で始まった TOEFL‐ITP テストの受験は、徐々に強制の色を強め、現在では単位取得に強く紐づけされた形になっています。

 ○ CAP 制の導入は、単位取得方法の自由を奪うものであり、「単位の実質化」の名のもとに授業外の学習時間を強制することとともに行われています。その結果、学生の授業外の自由な時間が奪われ、学生生活の重要な一環である課外活動やアルバイトに費やす時間が奪われています。

 

 我々熊野寮自治会に対しても、学生による自主的な寮運営を否定する数々の介入が為されています。これらの熊野寮の自治に対する介入は、自治によって多くの学生の学ぶ権利を保障してきた歴史を蔑ろにするものであり、断じて認めることはできません。例えば、入退寮選考権の侵害は、もともと男子日本人学部生のみが居住可能だとする当局の規則があった状況から、寮生の不断の努力と闘いによって実現してきた自主入寮選考によって、性別、国籍の枠を撤廃し、院生や聴講生・科目等履修生でも居住できる寮としてきた経緯を無視しています。

 

 そして、上記の問題に対して、異議を唱えて行動を起こした学生に対しては、2016 年以来、度重なる懲戒処分が掛けられています。また、こうした問題に抗議する集会などを開けば、多数の職員が殺到し、学生を威圧し、処分を目的とした撮影や、暴力的な集会の妨害といった弾圧が行われています。こうした弾圧を補助する警備員の費用には、16 カ月で 3500万円の大学予算が使われていたことも明らかになっています。こうした出費に使われているのは、学生の学費です。

 

 熊野寮自治会は、こうした問題の数々に対して、これまで多くの声明や抗議文を提出し、学生と話し合う場を設けることを求めてきましたが、当局から何ら実りのある回答はなく、ほとんど無視されてきたに等しいと認識しています。こうした事態は極めて遺憾です。大学当局は、学生の規制やカリキュラムなどを勝手に制定し強制していますが、学生が学ぶ大学の環境やルールは、学生自らが作り上げていくことが、民主的なあり方なのではないでしょうか。熊野寮自治会は、学生に何ら相談なく為された決定は無効であるという立場から、京大当局に対して、改めて以下のことを求めます。

 

 一、上に挙げたような様々な学内問題について、学生に説明し交渉する場を、誰でも参加できる団体交渉の形態で設けること。 

 

 そして、全学の学生の皆さんに対して、こうした大学当局の非民主的な専制に対して、ともに立ち上がることを呼び掛けます。

 

以上

2022 年4月 15 日

京都大学熊野寮自治会